最近は、「デザイン」をコンセプトに北欧の特集をする日本の成人男性向け雑誌が目立ちます。一頃、北欧福祉記事が有象無象書かれましたが、そこまで行かなくとも、結構な量の記事を目にするようになりました。これだけ北欧が求められる真の理由はわかりませんが、日本の住宅事情が北欧家具やグッズを置いても違和感がなくなったこと、バブル経済崩壊以降なんとなく日本人の心身がシンプル&コージーを求めていることなどが思いつきますが、どうでしょうか?
デンマーク大使館のある東横線の代官山には、最近スウェーデン製のステーショナリーグッズを売るお店ができましたし、デンマークの生活関連グッズ「ボダム」も店を広げています。
ビームスというメディアと若い年代の影響力のあるお店が、積極的に北欧グッズを数年前から紹介していたとも聞きました。そういう様々な人々の「営業活動」が単に実ったのだけなのかもしれません。北欧の品々が手頃な価格に落ち着いてきたこともあるかも。

私が気が付いたのは以下の雑誌特集です(4はムック本)。

  1. 「アルネ・ヤコブセン大研究」 ペン 2002年4月15日号
  2. 「北欧最終案内」 カーサブルータス2002年8月号
  3. 「デンマークのデは、デザインのデ」 ソトコト 2002年4月号
  4. 「北欧家具とデザインの本」 北欧スタイル夏号 2002年夏号
  5. 「おとぎの国の雑貨探し」 フィガロジャポン 2002年7月5日号

  1. は今年生誕100年を迎えた天才デンマーク人建築家アーネ・ヤコブセン(故人)を紹介。代表的作品を紹介しながら、彼の生涯を紹介している。年代順にヤコブセンの作品を紹介、その1つをひとつに丁寧に解説を加え、その後のプロダクトデザイン界に与えた影響も考察しています。この中には「これを普通の人がたのしんで読めるだろうか」というような、かなりつっこんだ記述もあります。
  2. は生活を豊かにする北欧デザインについて網羅的に紹介している。日用品、建築など、デンマーク、スウェーデン、フィンランドのデザイナーを紹介している。
  3. はデンマーク人の生活とデザインの仲の良さを伝える。また豚肉を中心とした食文化の紹介もある。
  4. はまさにカタログ。日本で入手できる北欧関連グッズの紹介するほか現在のデザイナーを紹介している。

各記事に共通する事柄は3つ。

  1. 北欧デザインに解説と椅子を中心とした家具の紹介
  2. 北欧の代表的デザイナーの紹介
  3. レポーターが女性

それぞれの記事でデザインについてのうんちくもすごいし、商品紹介も詳細を究めるのですが、「アルネ・ヤコブセンの創造力は、スピルバーグに匹敵するものだったかもしれない」(pen)というような比較には、なんとなく違うんじゃないかなぁ、と思ってしまう。

最近のハリウッドの映画を見ていると、北欧の家具やグッズが頻繁に画面に映る。「トータルフィアーズ」を見ていたら、テロリストが「バンク&オルフセン」のオーディオに耳を傾けていました。

(本文はOSV24号に掲載されたものです。)