一般的に「母乳を与える」ということの大切な点として、栄養、免疫、そして母子の絆の三つがしばしば取り上げられます。まず母乳を知る上でこの三点の意味をお話ししたいと思います。
このような環境が整いにくい今の日本では、母乳育児ができなっかたとしても、それは決してママだけのせいではありませんし、育児そのものを否定されたということでも、もちろんありません。
ひとつのデータとして、このような条件が比較的そろった堀内先生が勤務されている聖マリアンナ横浜市西部病院では、双子の生後一ヶ月の時点での完全母乳率は60%だそうです(過去4年間)。
核家族の社会の中で、いつも一人で一度に二人(あるいはそれ以上)の赤ちゃんと、向き合い続けなければならないツインママも多いのが現実です。「一人の子どもを育てるには、村中の大人の力が必要だ」というのはアフリカのある部族のことわざだそうですが、それほど子どもを育てるということは、たくさんの人の目と手と心が必要なのですね。
さらに育児は「母と子の関係を実感して楽しむ」ことだと思います。「母乳を与えること」だけが母親の至上命令のようになり、育児を孤独に感じ、楽しさどころか苦しみになってしまうようなことがあってはならないでしょう。
社会的な価値として「授乳する時間を尊重する」という合意があれば、もっともっとサポートが充実していくのではないでしょうか。そして多くの家族が、「楽しい妊娠、出産、育児だった」と思えるよう、医療従事者、ひいては社会全体が「子育て」を支えなければならないと思うのです。