Päivää(パイヴァー)!こんにちは!

日本は紅葉の季節ね。フィンランドの紅葉はもう少し早い時期で、10月には雪が降り始める地域もあるわ。

地面がぬかるんで歩きにくいことから、フィンランド語で「10月」はlokakuu(ロカクー)=「泥の月」って言うのよ。
ちょっと切ない語源ね。

さて、今日もフィンランド語の謎を解明しなくちゃ。
ハンナならどんな難題も解決できるんだから!

今日の依頼人は、第4回に登場した主婦のミチヨさんよ。

🔎Case #8:『行く先は最後まで確認すべし』

ハンナ:こんにちは、お久しぶりですね。フィンランド語の勉強はいかがですか?

ミチヨ:こんにちは。お隣のフィンランド人の奥様と、ちょっとだけフィンランド語で話せるようになってきました。
お互いの家を行き来して、私は彼女にシナモンロールの作り方を教わったりしています。

ハンナ:いいお付き合いができているようで何よりですね。
さて、今日はどういったご相談ですか?

ミチヨ:先日ご相談していた場所の表現も少しずつ覚えています。
「明日買い物に行きます」くらいのことは言えるようになりました。
ところが、また場所の表現で不可解なことに気づいたんです。

ハンナ:どういったことでしょうか?

ミチヨ:お隣の奥様がご旅行の計画を話してくださったのですけど、その時の会話を後で思い返したら不思議なんです。
これは、会話を思い出して書き留めたメモです。読んでいただけます?

(ハンナにメモを渡す)

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ハンナ:お隣の奥様はパイヴィさんと言うんですね。

ミチヨ:はい。最初は彼女が海外旅行をするのかと思いました。それで尋ねたら、「東北へ行く」と答えが返ってきて。maa(マー)って「国」という意味ですよね?どうして東北へ行くのに「国」という単語を使ったのか、と後で疑問が残りました。
ハンナさん、この謎が解けますか?

ハンナ:トタ、トタ*1・・・わかったわ!
謎を解くカギは「行き先の最後の形」よ!

ミチヨ:最後の形?どういうことでしょうか?

ハンナ:ミチヨさん、maaという単語は確かに「国」という意味ですが、それだけじゃないんです。
この2つの文を見てください。

 

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(1)Menen maahan.(メネン マーハン)

(2)Menen maalle.(メネン マーッレ)

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ミチヨ:あら、maaについている語尾が違いますね。

ハンナ:そうです。(1)は「私は(その)国へ行く」という意味です。でも、(2)は「私は地方、郊外へ行く」という意味になるんです。maaにつく語尾が変わっているでしょう?それで意味の違いを表すんですよ。

ミチヨ:まあ!そういえば英語のcountryも「国」と「地方、郊外」という意味があるけれど、まさか語尾で意味の違いを表すとは思わなかったわ。

ハンナ:こういった単語はあまり多くはありませんけどね。他には・・・例えば、kahvi(カハヴィ)は「コーヒー」という意味ですが、”Menen kahville.”(メネン カハヴィッレ)と言うと、「私はコーヒーの方へ行く」という意味ではなく「私はお茶をしに行く」という意味になります。

ミチヨ:なるほど、そうだったの。じゃあ、パイヴィさんは「郊外へ行く」と言っていたんですね。

ハンナ:ええ。場所の形は最後まで確認することが大事ですね。これを機会に、決まった言い方として文で覚えてしまうといいですよ!

ミチヨ:そうね。今度地方へ旅行する時に私も使ってみようかしら。また相談に伺いますね。ありがとうございました!

 

謎は解決!次はどんな依頼が舞い込んでくるかしら?次回もお楽しみに!

 

*1 トタ(tota):日本語の「えーっと」に当たる語tuota(トゥオタ)のくだけた発音。